糖尿病は世界的に増加傾向にあり、その早期発見は極めて重要になっている。簡易的な糖尿病スクリーニングは、体格指標であるBMI(Body Mass Index)などを参照するが、さらなる効率化・有効化に向けた新たな試みとして、米イリノイ大学シカゴ校(UIC)の研究チームが、胸部X線画像から糖尿病リスクを予測する研究を行っている。
Nature Communicationsに発表された同研究では、16万人以上の患者から収集した27万枚以上の胸部X線画像データを用いて、ディープラーニングモデルを構築し、糖尿病と診断される患者の画像的特徴を抽出した。この結果、開発されたAIモデルは、画像データを利用しない電子カルテデータベースのモデルと比較して、糖尿病リスクの予測に優れていることが示された。さらに研究の中で同AIモデルは、糖尿病や高血糖の診断を受けていない高リスク患者1,300名を特定し、そのうち約150名は既存の糖尿病スクリーニングガイドラインの年齢やBMIの基準を満たしておらず、疾病リスクが見逃される可能性の高い患者であった。本研究で得られたAIモデルは、特定部位の脂肪率とリスク予測精度の相関関係を明らかにしており、説明可能なAIとしての理論背景も有している。
著者でUICのBrian Layden氏は、「我々の取り組みは、他の目的で収集されたからデータから新たな情報を引き出すAI手法である。例えば、肺炎の有無を確認する胸部X線検査を通じ、他の健康問題を見つけ出すことができる。これは非常に革新的でエキサイティングなアイディアだ」と語った。
参照論文:
Opportunistic detection of type 2 diabetes using deep learning from frontal chest radiographs
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