近年、健康の社会的決定要因(SDOH)を扱う研究が注目を集めている。疾患発症や予後に影響を与える上流の因子として、個人や集団の経済的・社会的要因に着目する学問領域で、主に社会疫学者が中心となって研究が深められてきた。米フロリダ大学などの研究チームは、自然言語処理を用いた「臨床ノートからSDOH情報を抽出するツール」について、その一般化可能性に関する検証を行った。
International Journal of Medical Informaticsに掲載された研究論文によるとチームは、このモデルが「異なる臨床環境でどの程度SDOH関連要素を抽出できるか」を評価するため、フロリダ大学関連病院で6ヶ月間に作成された600万件の臨床ノートにこのモデルを適用した。モデルは、13,000のノートに経済的不安、19,000のノートに住居不安のフラグを立てた。NLPの性能は、正解率、陽性的中率、感度、特異度で測定したが、この2つのSDOH情報について全てのパフォーマンス指標で0.87以上を達成していた。
著者らは、SDOH情報の効率的抽出により、個々人の健康アウトカム改善を狙えることに加え、集団ベースの介入策立案にもつながる事実を指摘している。
参照論文:
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