イスラエルで生物学の研究を行うCytoReason社は、創薬研究における動物実験で得られたデータを、人間で実験を行った場合を想定して変換するAIシステムを開発した。このAIシステムにより、創薬研究において最も長い時間と労力を要する臨床段階を、従来よりも短時間で行う事が可能になるかもしれない。
創薬研究では、研究室で新薬となり得る化合物を作ったあと、人体での実験を行う前に、マウスなどの実験動物を使って効果や安全性を確認する。しかし、同じ哺乳類とはいえマウスと人間は別の生物なので、実際に人体を使ってデータを取る治験では、マウスにおけるデータとは異なる結果になることもある。OutSourcing-Pharma.comによると、CytoReason社のAIは、マウスで得られたデータを、遺伝子の違いを考慮した上で、高精度で人間でのデータに変換する事ができる。また、このAIは28種の疾患においてマウス実験から人体でのデータに変換する試験を行なったところ、実際の治験データと近い結果を提示したという。
EurekAlert!によると、CytoReason社のCEOであるDavid Harel氏は、創薬研究ではマウス実験が成功しても、治験で効果が示せずに新薬の開発が中断する場合が多いため、この問題を解決できるAIの開発は非常に大きな進歩であると述べ、さらに精度も向上させていきたいと自信を示した。