大半の中咽頭がん患者は、放射線治療中にオピオイドの投与を必要とするが、オピオイドの漫然とした長期投与は、依存や慢性疼痛のリスクを高める。米国テキサス州のMDアンダーソンがんセンターの研究チームは、放射線治療中の口腔がんおよび中咽頭がん患者における疼痛の程度、オピオイド投与量(MEED)、および鎮痛効果を予測する機械学習モデルを開発した。本研究は、Frontiersに掲載されている。
研究チームによると、本研究は2017年から2023年の間に、MDアンダーソンがんセンターで放射線治療を受けた口腔がんおよび中咽頭がん患者900人を対象に実施されたという。ロジスティック回帰(LR)、サポートベクターマシン(SVM)、ランダムフォレスト(RF)、勾配ブースティングマシン(GBM)の4つのモデルについて学習を行った結果、疼痛の程度の予測ではGBMが(AUROC:0.71、再現率:0.39、F1スコア:0.48)、総MEEDの予測ではLRが(AUROC:0.67)、他のモデルを上回る識別性能を示した。鎮痛効果の予測に関しては、識別性能に有意差は見られなかった。また、疼痛の程度とMEED予測に最も関連のある変数となったのが、「放射線治療前の疼痛スコア」、「体重の変化」、「心拍数の変化」、「年齢」などであった。
臨床医が個人の経験に基づいて疼痛の程度を予測することは現状では困難である。著者らは、「本モデルにより、個々の患者に応じた疼痛管理計画が可能となり、ひいてはオピオイドの漫然とした長期投与や依存リスクを抑えることができる」と述べている。
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