医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例AIベースの臨床意思決定支援システムの改善策に関する質的調査

AIベースの臨床意思決定支援システムの改善策に関する質的調査

臨床意思決定支援システム(CDSS:Clinical Decision Support System)は、最新の医学的知見やデータを解析することで、医療従事者が診断や治療に関する意思決定を正確かつ迅速に行えるようサポートするシステムである。臨床現場の医療従事者にとって利益となる可能性がある一方で、CDSSの普及は遅れている。こうした問題を背景に、ドイツの研究チームは、AIを活用したCDSSの実用化を妨げる障壁や改善策に関する知見を得るため、多様な専門家に対してインタビュー調査を実施し、その結果をJournal of Medical Internet Researchに公表した。

研究チームは、患者、医師、保険関係者、法律家、IT関係者、CDSSの開発者など、多岐にわたる17名の専門家に対してウェブを通じた半構造化面接を実施し、227件の専門家の意見を分析対象とした。提案された改善策は、技術、研究、法律など幅広い分野にわたり、システム自体の改善(CDSSの操作性、透明性、カスタマイズ性の向上、システムによってもたらされる利益に関する研究の実施など)、ユーザー側の改善(医師向けのCDSS研修の導入など)、CDSSの使用環境の整備(特に病院におけるデジタル化の促進や法的問題の整備)、自動化バイアス対策(ユーザーがまず自分で判断したうえでAI提言を提示)、ポストマーケット監視(定期的品質検証)などが示された。

研究者たちは、「今回の研究は、AIベースのCDSSに関する問題点や改善策について包括的な視点を提供したが、根本的な解決策の特定には至っていない。今後は、分野ごとに問題点に対する定量的研究を実施し、効果的な改善策を示すことが重要である」と述べている。

参照論文:
Improving AI-Based Clinical Decision Support Systems and Their Integration Into Care From the Perspective of Experts: Interview Study Among Different Stakeholders

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Kazuyo NAGASHIMA
Kazuyo NAGASHIMA
長島和世 群馬大学医学部卒(MD)、The University of Manchester(MPH)。WHO/EMROにて公衆衛生対策に従事。2025年度より、アラブ首長国連邦にて、プライマリーケア診療。
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