医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例医療系AIスタートアップ・ベンチャー企業の動向どのCOVID患者をICUに入れるべきか - 一貫した判断を支えるAIシステム

どのCOVID患者をICUに入れるべきか – 一貫した判断を支えるAIシステム

カナダ・ウォータールー大学の研究者らが設立したスタートアップ「DarwinAI」は、バイタルサイン・血液検査結果・病歴など200以上の臨床変数に基づき、「集中治療室(ICU)入室の必要性」を予測するAIシステムを開発している。これは、ICUでの治療が必要な患者を効果的かつ効率的に特定することで、COVID-19パンデミック時において限られたリソースを最大限活用するための、医師による医学的判断に資する臨床支援システムとして期待を集めている。

同大学が6日明らかにしたところによると、このAIシステムの根幹となるニューラルネットワークは、ブラジル・サンパウロに所在するシリオ・リバネス病院において「COVID患者がICUに入室すべきかどうか」を医師が判断した400の事例データを用いて学習したという。既知の臨床変数から95%以上の精度での予測を実現する本システムは、特に説明力の高い変数を個別に提示することで、医師による医学的判断をより強固にすることができる。

チームは「本技術が医師に取って代わるものではなく、医師が迅速に、かつ多様なデータに基づいた適切な意思決定を行うことを支援する」点を強調しており、医療資源の活用を最適化し、治療を個別化するため、臨床医の専門知識を技術的に強化することを狙い続けるという。現在、この技術はCOVID-Netと呼ばれるオープンソースプロジェクトに取り込まれ、大規模な臨床意思決定支援システムの一翼を担っている。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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