AI退院プログラムが空床調整を最適化

英ロンドンに本拠を置く医療AIスタートアップ「RwHealth」は、NHSに独自のAI技術を提供し、空床調整におけるオペレーションパフォーマンスを劇的に改善している。同社は1日、シリーズAラウンドとして720万ユーロ(約9.5億円)を調達したことも公表している。

このほど、NHS病院で1週間に渡って行われたトライアルでは、3つの医療機関においてRwHealthのAIおよびデータ分析ツールを活用し、「患者の適切な退院」を促すことによってどれほどのベッドキャパシティが創出できるかを試験した。患者のウェルビーイングが十分に担保された状態において、これらのシステムは計586名の患者を退院に導き、通常の57%増にあたる空床の確保に成功したという。

冬季の病床需要増大への予防策としても、一定の成果を示した同社システムは今後利用範囲の拡大が期待されている。RwHealthのCEOであるOrlando Agrippa氏は、今回の資金調達について「得られた調達資金は、NHSの未来を支えるAIソリューションの提供および開発に用いる」ことを明らかにしている。

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