薬剤抵抗性てんかん(DRE)は、十分な抗てんかん薬治療を行っても発作が抑制できない患者が一定数存在し、治療上の大きな課題となっている。研究チームは、DRE患者の脳組織データを解析し、発作抵抗性に関わる免疫炎症反応の特徴を機械学習により可視化した。本研究結果は、パキスタンと中国の研究チームらがScientific Reportsに発表した。
研究では、海馬および大脳皮質から得られたRNA-seqデータ197例(DREを含むてんかん162例・非てんかん35例)を統合し、複数の機械学習モデルとSHAPによる説明可能性解析を組み合わせ、疾患分類に強く寄与する遺伝子を抽出した。内部検証ではROC-AUCが0.98〜0.99と高精度を示し、独立外部データでもAUCは0.93と良好な再現性が確認された。抽出された897遺伝子の多くは、TNF・IL1B・P2RY12など炎症やミクログリア活性化に関わる分子であり、機能解析でも免疫・炎症経路への濃縮が認められた。さらに薬物—標的解析と分子ドッキングにより、抗血小板薬Prasugrelや肺炎治療薬Pentamidineなど一部既存薬が強い結合能を示す候補として挙げられた。
著者らは、DREでは「脳内の慢性炎症」と「免疫細胞(特にミクログリア)の活性化」が発作の持続や薬剤抵抗性に関与している可能性を本研究が示唆すると述べている。今回の結果は、診断補助バイオマーカーや治療層別化の指標として活用できる可能性がある一方、解析はあくまでコンピュータ上のシミュレーション(in silico)に基づくものであるため、今後は組織検証や機能実験、臨床研究による確認が必要とされる。これらの分子の一部は既存薬の作用標的とも重なり、炎症経路を標的とした治療の検討や、既存薬の治療転用につながる研究の進展が期待される。
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