ある病院では高い性能を発揮していたAIモデルが、他病院に導入されると性能が低下することがあり、これがAIを複数の医療機関で実用化するうえで大きな課題となっている。この問題に対し、12か国・5大陸にまたがる23病院の共同研究チームは、各病院で順次再学習させる「継続学習(continual learning)」手法の有効性を検証する国際共同研究を実施し、その成果をNEJM AIに発表した。
本研究は後方視的観察研究として集中治療室の胸部X線画像に写る気管内挿管チューブ(ETT)の位置評価が行われた。各病院は約100件の集中治療室胸部X線写真を提供し、50件をトレーニング用、残りは評価用に使用され、計2,313枚が用いられた。研究チームは、オリジナルモデル、導入病院ごとのfine-tuningモデル、継続学習モデルの3方式を比較した。継続学習モデルでは、AIモデルだけを病院から病院へと移動させ、各施設でわずか50件のデータを使って順次再学習させている。その結果、ETT先端と気管分岐部の距離誤差は、オリジナルモデルの16.39mm(SD±21.56mm)、fine-tuningモデルの12.49mm(SD±15.37mm)に対し、継続学習モデルでは10.58mm(SD±12.98mm)と有意に低下し、継続学習モデルは、オリジナルモデルやfine-tuningモデルよりもより優れた性能を示した。
著者らは、継続学習モデルは、各施設で50件という少ない学習データの使用にも関わらず、施設間での患者データの共有なしで優れた結果を示し、異なる国・地域・撮像条件をまたぐ運用下でも性能の安定化が期待されると述べている。施設内でデータを保持したままAIモデルの性能を向上したい場合、本手法が安全なAI医療支援の実装に適していると期待される。
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