中国国内の医療機関では、提供する医療サービスの質に格差が大きいことがしばしば話題となる。実際、中国国民の半数以上は、たった8%しか存在しない「三ツ星グレード」の病院にかかっている。結果として長い待ち時間とごく短い診察時間となり、そこに勤める医師は過度な長時間労働を強いられるという非効率な現状がある。
米CNBCの取材に対し、Ping An Technology(平安科技)のCEO Ericson Chan氏は「中国の非効率な医療は、医療者・患者の双方に負担感を与えており、ある種の摩擦を生んでいる」と指摘する一方、「AI技術による現状の打開が十分に可能」としている。Ping An Technologyは、何らかの症状が発現する前に慢性疾患への罹患を予測するAIシステムや、高精度な感染症診断アルゴリズムで知られている。
AIは疲れ知らずの安定した精度をもって、医師の煩雑な作業の一部を補える可能性が高い。一方で、AIの実臨床利用への壁は小さくないが、「医療AIは既に現実的な価値を示している」とChan氏は述べる。医師の恵まれない労働環境から、優秀な学生の医学部離れも加速する中国で、AIが国内医療の抜本的改革を引き起こすか、注目が集まる。