中国の医療はAIで効率化できる – Ping An Technologyが目指す未来

中国国内の医療機関では、提供する医療サービスの質に格差が大きいことがしばしば話題となる。実際、中国国民の半数以上は、たった8%しか存在しない「三ツ星グレード」の病院にかかっている。結果として長い待ち時間とごく短い診察時間となり、そこに勤める医師は過度な長時間労働を強いられるという非効率な現状がある。

CNBCの取材に対し、Ping An Technology(平安科技)のCEO Ericson Chan氏は「中国の非効率な医療は、医療者・患者の双方に負担感を与えており、ある種の摩擦を生んでいる」と指摘する一方、「AI技術による現状の打開が十分に可能」としている。Ping An Technologyは、何らかの症状が発現する前に慢性疾患への罹患を予測するAIシステムや、高精度な感染症診断アルゴリズムで知られている。

AIは疲れ知らずの安定した精度をもって、医師の煩雑な作業の一部を補える可能性が高い。一方で、AIの実臨床利用への壁は小さくないが、「医療AIは既に現実的な価値を示している」とChan氏は述べる。医師の恵まれない労働環境から、優秀な学生の医学部離れも加速する中国で、AIが国内医療の抜本的改革を引き起こすか、注目が集まる。

TOKYO analytica
TOKYO analyticahttps://tokyoanalytica.com/
TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
RELATED ARTICLES

最新記事

注目の記事