英ロイヤルマースデン病院は欧州最大のがん治療病院として知られ、またがん研究を推進する複数の研究所・団体を擁する。ロイヤルマースデンがサポートする研究として、胸部の画像上変化が悪性腫瘍治療薬の副作用によるものなのか、あるいは新型コロナウイルス感染によるものなのかを識別するAI技術の開発が進められている。
ロイヤルマースデンが7日明らかにしたところによると、この研究は呼吸器内科医でもあるRichard Lee氏が率い、Imperial College LondonとInstitute of Cancer Researchの共同した取り組みになるという。がん治療における重要な選択肢として免疫療法があるが、その副作用の一部では「何らかの病原体感染に伴う肺炎」などに似た臨床症状を示し、画像上の変化においても副作用と感染の識別が困難なことが問題となってきた。昨今の新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって、この問題はさらに顕在化してきている。チームはがん患者のCT画像で、新型コロナウイルス感染のある症例とない症例を多数集めるところから開始する。
今後、本研究には50万ポンド(約6,500万円)の資金が必要となる。NHSや英国内の財団・営利団体などからの資金提供に加え、ロイヤルマースデン・キャンサーチャリティを介した募金の重要性も強調している。