AIによる画像診断研究が進むなか、モデルの訓練と構築に大量の医療データにアクセスすることは欠かせない。しかし、そのデータは患者プライバシー保護の観点から非公開で保護される必要がある。脳腫瘍を検出する画像診断アルゴリズム開発のため、Intelと米ペンシルバニア大学は分散型機械学習アプローチであるFederated learningを適用している。
Intelの5月11日付けのニュースリリースによると、同プロジェクトで提携するペンシルバニア大学と29の医療機関では、Federated learningによって患者データを施設間では共有せずに施設内でセキュリティを保持してAIモデルの訓練をローカルに行う。各施設ごとに教育されたモデルは中央の集中型サーバーとの間で集約されて再調整を受け、共有や同期を繰り返す。その有効性は2018年にIntelとペンシルバニア大学から International MICCAI Brainlesion Workshopに発表され、データ共有型のモデルと同等の性能を示している。
真に有効なAIモデルのトレーニングには、単一機関で保持できないレベルの多様なデータを必要とすることが科学コミュニティで常識となってきた。一方で個人医療データという極めて高いレベルでのセキュリティ保護が常に課題となる。Intelの他、Google・NVIDIAらも同様の分散型学習アプローチで開発をすすめている。今後の医療AIにおけるスタンダードとなる可能性を秘めている。