ハイリスク者を多く抱える高齢者施設において、COVID-19関連死は切迫した問題となっている。そのような施設において感染が疑われる症例を早期に特定することは重要なニーズとなる。
マギル大学のニュースによると、同大学の研究チームを中心としてカナダ国内で展開する「AiCoV19」プロジェクトでは、高齢者施設を対象としてAIと医療機器を組み合わせたCOVID-19の追跡・監視・予測に関する多施設共同研究を行っているという。発熱や息切れといった症状の急激な変化がみられた際、医療者に対してリアルタイムでの警告を発し対策を講じられるようにする。同プロジェクトはロシュ・カナダが資金提供する「COVID-19オープンイノベーションチャレンジ」に選出された11のプロジェクトのひとつである。
当初ケベック州とオンタリオ州の高齢者長期療養施設でプロジェクトは展開される。これら二つの州ではCOVID-19関連死が介護施設に圧倒的な集中をみせており、ケベック州では死者の80%以上、オンタリオ州では70%以上との報告がある。このような状況を技術によって打開することができるか、プロジェクトの進捗は大きな期待をもって見守られている。