韓国基礎科学研究所(KBSI)などの研究チームは、機械学習アルゴリズムを利用し、血清タンパク質の推移から口腔咽頭扁平上皮がん(OPSCC)を識別する手法を開発した。研究成果はがん疫学の専門誌Cancer Epidemiology, Biomarkers & Preventionに12日、オンライン公開された。
研究チームの論文によると、175名のOPSCC患者および同数の健常コントロールに対して、診断時と診断2年前および4年前、診断2年後のそれぞれで血清サンプルを取得し、縦断データベースを構築したという。先行研究から候補となる146のタンパク質を選択し、ランダムフォレストを用いて症例と対照を識別する分類器を導出した。なかでも13のタンパク質による分類器は高い識別精度を持ち、AUCで0.90を示すとともに、コントロール群においてはこれらのタンパク質が経時的な変動を示さないことも確認された。
OPSCCは喫煙・アルコール・HPV感染などが発症リスク因子として示されてきたが、極早期の発見を実現するスクリーニング手法はまだ得られていない。今回の研究成果は早期診断によるOPSCCの予後を直接的に改善する可能性があるとともに、我が国のように、健康診断における定期採血がルーチン化している国にとっては、スクリーニング手法の導入が容易であるためその意義は大きくなる。