髄膜種は最も頻度の高い脳腫瘍として知られる。良性が大多数を占め、頭部の画像撮影に伴って偶然に発見されることも多い。一方でその外科的治療戦略の策定には、腫瘍の部位や大きさ、栄養血管の豊富さなども重要な要素となることに加え、腫瘍そのものの「硬さ」が大きな問題となる。サウジアラビア・キングサウード大学の研究チームは、MRI画像から髄膜種の硬さを推定するAIアルゴリズムを開発した。
Journal of X-Ray Science and Technologyにて公開されたチームの研究論文によると、複数の教師あり機械学習モデルを用い、ラベル付けしたMRI T2強調画像からアルゴリズムをトレーニングしたという。実際の臨床データへの適用と検証においては、F値95%および精度87%を示し、システムの潜在的な臨床的有効性が示唆されていた。
髄膜種が硬い場合は、腫瘍周囲の脳実質や神経、血管との癒着も多くみられる。これらは外科的切除の際に損傷される危険性が高まるために、事前の非侵襲的な評価手法の確立には大きな意味がある。「実際に開いてみなければ分からなかったものを、AIを利用して画像評価で事前判断する」アプローチにはあらゆる医療領域に検討余地があり、研究・開発への着想としても参考になるだろう。