MRI画像から脳腫瘍の硬さを自動検出

髄膜種は最も頻度の高い脳腫瘍として知られる。良性が大多数を占め、頭部の画像撮影に伴って偶然に発見されることも多い。一方でその外科的治療戦略の策定には、腫瘍の部位や大きさ、栄養血管の豊富さなども重要な要素となることに加え、腫瘍そのものの「硬さ」が大きな問題となる。サウジアラビア・キングサウード大学の研究チームは、MRI画像から髄膜種の硬さを推定するAIアルゴリズムを開発した。

Journal of X-Ray Science and Technologyにて公開されたチームの研究論文によると、複数の教師あり機械学習モデルを用い、ラベル付けしたMRI T2強調画像からアルゴリズムをトレーニングしたという。実際の臨床データへの適用と検証においては、F値95%および精度87%を示し、システムの潜在的な臨床的有効性が示唆されていた。

髄膜種が硬い場合は、腫瘍周囲の脳実質や神経、血管との癒着も多くみられる。これらは外科的切除の際に損傷される危険性が高まるために、事前の非侵襲的な評価手法の確立には大きな意味がある。「実際に開いてみなければ分からなかったものを、AIを利用して画像評価で事前判断する」アプローチにはあらゆる医療領域に検討余地があり、研究・開発への着想としても参考になるだろう。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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