医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例皮膚がん診断はヒトとAIが協働するのが最適か - Nature Medicine より

皮膚がん診断はヒトとAIが協働するのが最適か – Nature Medicine より

AIが医師の意思決定を支援することが徐々に浸透してきたが、そのパフォーマンスや臨床医がどのようにAIと付き合うべきか検証した研究はまだ少ない。「皮膚がんの診断でAIが臨床医を支援することが最も好ましい診断精度を達成できる」という可能性が、豪クイーンズランド大学を中心とした国際研究チームから学術誌 Nature Medicineに発表されている。

クイーンズランド大学のニュースリリースによると、同研究では色素性皮膚病変を診断する畳み込みニューラルネットワークが医師の意思決定を支援するパターンについて比較されている。その結果、質の高いAIが医師の臨床的意思決定を支援することが、AI単独や、あるいは医師のみでの診断よりも精度を向上させることが示された。また、経験の少ない臨床医がAI支援の利益を最も得られることも明らかとなったという。一方で、欠陥のあるAIは専門医にまで誤解を与える可能性も言及されている。

クイーンズランド大学のMonika Janda教授は「将来の臨床医にとっては、AIを用いたスクリーニングや診断サポートが日常的なものになることを意味しています」と語る。これまでの研究の多くは「AIが専門医レベルの診断精度に達するか」に主眼を置く一方、本研究は現実的な「AIの臨床活用のあり方」を踏まえた検討を行っている点で新規性がある。今後は、本研究のように臨床現場のワークフローを想定した改善効果を検証するものが存在感を増してくるだろう。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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