がんの発生起源において、正常細胞と同様に自己複製や様々な細胞に分化できる「がん幹細胞(CSC: cancer stem cells)」が関わると考えられている。近年、がん治療の重要な柱として応用が進む分子標的治療も、CSC研究を基礎とする。そのCSCを幅広く利用するため、CSCに特徴的な細胞形態を画像から評価する手法が模索されている。
東京工科大学の17日付プレスリリースによると、同大の研究グループは、がん幹細胞と非がん幹細胞を識別するAI技術を開発したことを発表している。ディープラーニング技術を基礎として、培養細胞またはがん組織の位相差顕微鏡画像に写るがん幹細胞の細胞形態をAIが識別して明示することができたという。
同研究は、東京工科大学が全学で取り組む「人工知能(AI)研究会」によるもので、研究成果はオープンアクセスの学術誌 Biomoleculesに掲載されている。特別な標識をされていないCSCをAIが検出できる可能性が示され、今後はCSCの存在を指標にする分子標的治療薬の評価や、病理組織診断などへの応用が期待される。