完全血球計算(CBC: complete blood count)は現場では通称「血算」と呼称され、赤血球・白血球・血小板数などを計測する、血液検査で最も基本となる項目のひとつである。従来のCBC検査装置よりも小型化され、血液量も指から2滴で算出可能で、数分以内に結果を提供するという検査装置をイスラエルのスタートアップ Sight Diagnosticsが提供している。
silicon canalsではSight Diagnostics社のシリーズDラウンド 6020万ユーロの資金調達について報じ、同社を紹介している。同社の主力製品「Sight OLO」は患者の指から血液を採取し、単分子膜を作成する処理ののち、デジタル顕微鏡で画像が生成される。画像は機械学習アルゴリズムで解析され、従来のラボと同等に19種類のCBC結果を算出する。Sight OLOは月齢3ヶ月以上の小児への使用も認められており、血液検査の困難さが軽減される。
Sight OLOは他の分析装置との差別化として、指から採取した血液で直接CBC検査ができる装置の中、現時点で唯一 FDA 510(k)の認証をクリアしていることをSight Diagnostics社は主張している。現在、世界中の新興企業で新型コロナウイルスのパンデミックと戦うための革新的技術を生み出す努力が続けられており、血液検査データからのアプローチも盛んとなっている。Sight Diagnostics社はイスラエル国内の病院との提携により、COVID-19患者の血液分析で重症度などを解析する研究プログラムも実施中とのことである。