高齢者や患者を見守る技術「リモートセンシング」について以前に紹介した(過去記事)。カメラベースではない遠隔監視センサーは、プライバシー面への配慮も注目される。イスラエル発のEchoCareTechnologies社はレーダーと機械学習をベースにしたクラウド接続型の空間監視モニター「ECHO」を開発している。
ISRAEL21cでは、ECHOについて報じている。天井や壁に設置されたECHOユニット1台あたり、高齢者施設として標準的な広さのアパートの中で1人(次期バージョンでは2人)を監視することができる。レーダーは壁を透過し、空間内での転倒・呼吸困難・浴室での溺水などを検知する。人の位置・姿勢・動作・呼吸を持続的に分析し、健康状態悪化の可能性に警告を発する。現在イスラエル国内ではCOVID-19病床にも設置され、病棟スタッフの感染リスクと負担の軽減に寄与している。家庭用と病院用で設計は変えられ、1ユニットあたりの目標価格は500ドルという。
ECHOは日本においても、2019年の機器承認以降、電子機器メーカーのSMKと協力し試験を進めている。日本で年間約17,000件起きるという浴室での死亡事故に対し、特に浴室環境での試験に重点を置いた。金属の壁と強い水音に囲まれた日本の浴室内の過酷な環境でもECHOは機能の要件を満たしているという。EchoCareTechnologiesの共同創設者でCEOのRaif Zack氏は「日本は世界で最も高齢化が進んだ国で、外国人介護者の需要が低く、エイジング・テックの世界的なベータテストの場となっています」と語っている。