原因不詳の慢性炎症で腰背部痛が続く難病に「体軸性脊椎炎(AxSpA: Axial spondyloarthritis)」がある。AxSpAが疑われた場合、腰部にある仙腸関節のX線画像から国際分類基準による診断が行われる。しかし、X線画像による仙腸関節炎の評価には読影者によるバラつきや感度・特異度の限界が指摘されていた。そういったなか、米国リウマチ学会(ACR: American College of Rheumatology)の年次総会に発表された「X線画像による仙腸関節炎検出のためのAIアプローチの開発と検証」が注目されている。
ACRのプレスリリースでは、AxSpA診断のあり方を変革する可能性を秘めた同研究を紹介している。1,669枚のX線画像からトレーニングされたニューラルネットワークは、最終的なテストセット100枚に対して感度87%・特異度97%を達成し、X線画像上での仙腸関節炎検出に優れた性能を示した。
同研究グループのシャリテー – ベルリン医科大学リウマチ科部長Denis Poddubnyy教授は「世界の多くの地域では、従来のX線検査がAxSpA診断の最初で、時に唯一の方法となります。仙腸関節炎は評価者によって症例の半数に達するほどの評価不一致となることもあります。開発されたモデルは、臨床での意思決定と、研究面での患者分類の双方に役立つでしょう」と語っている。