医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例Google HealthのAI研究 - 前立腺がん病理診断のパフォーマンス向上

Google HealthのAI研究 – 前立腺がん病理診断のパフォーマンス向上

前立腺がんの生検に対する病理診断AIの開発が各方面で進んでいる。しかし、そのアルゴリズムを病理医のワークフローへ統合した際の影響は十分に解明されていない。Google Healthの研究者らは「AIが病理医を補助して前立腺生検の診断精度・効率・一貫性を向上させる」という研究成果を学術誌 JAMA Network Openに発表した。

同研究は、20名の病理医による240例の前立腺生検での診断について検証された。病理医は泌尿器科領域専門と非専門の者が参加している。その際、病理診断に対してAI支援ツールを使用することで、前立腺がんの悪性度を分類するグリーソングレードグループ(GG)の病理医間での一致率が、GG1-5までの全体で70%→75%に上昇、特にGG1では72%→79%に上昇した。また、AI支援によって腫瘍検出パフォーマンスは向上し、感度と特異度が上昇、生検1件あたりの時間は13.5%減少して診断効率がアップした。

米国内で年間100万件を超えるといわれる前立腺生検において、結果の多くはGG1に分類される。そのため、GG1における診断パフォーマンスの向上は特に重要な意味をもつ。また、泌尿器科領域の専門性を有する病理医の数は大量の前立腺生検をすべて担当するには不十分であるため、専門性をもたない病理医との間で診断に一貫性が担保されることが望まれていた。AI支援ツールが現場の課題を本当に解決できるか、Google Healthの研究者らは実際のワークフローでのAIの利用価値に着目した成果を示し始めている。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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