ワクチンが十分な割合で国民に届くまでの間、世界各国では「あらゆる公共スペースにおける安全開放の是非はCOVID-19検査に依存する」と信じられている。ただし、例えば米国においては、昨年6月段階で85を超えるテストキットやアッセイに緊急使用承認を与えているものの、それぞれの臨床感度は曖昧なままとなっている。
米ベスイスラエル・ディーコネスメディカルセンターの研究チームは、各検査ごとの臨床感度をモデル化する分析ツールを開発し、Clinical Infectious Diseasesから論文を公表している。クラス最高のアッセイでは、「輸送媒体1mlあたり100コピー」というウイルスRNAの検出限界(LoD)を持つ。一方で、現在承認されている検査はそれぞれで、LoDが1万倍以上異なることがあり、LoDが高いアッセイでは感染した患者を容易に見逃してしまう事実がある。
研究チームは、このLoDをプロキシとして特定のアッセイの臨床感度を推定できることを明らかにした。仮に1mlあたり1,000コピーのものでは、COVID-19患者の75%しか検出されず、4人に1人が偽陰性となる。実際、緊急使用承認の得られている検査の1つにおいては、真の陽性症例の最大60%を見逃す可能性がある点にも言及する。チームは、市場に流通する検査キットの結果を鵜呑みにすることの危険性、および検査法間の相互比較を可能にするため、LoDを標準ベンチマークとして用いることの必要性を指摘している。