パンデミック下の医療スタッフには「PPE(個人用防護具)着用」「ソーシャルディスタンス」「デジタル診療」といった新たな課題が突きつけられた。そこでは医療従事者が孤立感・離別感を感じたり、ニーズに応えられない葛藤も多々見られる。それらコミュニケーション上の課題に対して、芸術のスペシャリストたちによるアイディアやテクニックを駆使した研究プログラムが今、英国で行われている。
ロンドン大学クイーンメアリー校のリリースによると、同大学は芸術ベースのヘルスケア教育と専門家育成を行う団体「Performing Medicine」らと提携し、「COVID下のコミュニケーション:ヘルスケア専門職の非言語コミュニケーションを芸術教育で支援」という18ヶ月の研究プログラムを遂行している。プロジェクトでは世界トップクラスのアーティスト・俳優・振付師・ボイストレーナーらの協力によって、英NHS職員のコミュニケーション上の課題に対応するためのトレーニングとサポート法がデザインされるという。
同プロジェクトの共同研究者Paul Heritage氏は「世界中の人々がパンデミックへの対応で、芸術が果たすべき重要な役割を理解しつつあります」と述べている。かつては不可分であった医学と芸術・人文科学が、双方の見識とアイディアを再び組み合わせようとする意欲的な取り組みは、コロナ禍にどのような成果をもたらすだろうか。