単なる時間経過を示す実年齢と異なり、個人差のある老化や基礎疾患を反映した健康状態の指標となる「生理的年齢」という考え方がある。米メイヨークリニックの研究グループが心電図から生理的年齢をAIアルゴリズムで評価するプロジェクトを以前に紹介した(過去記事)。
メイヨークリニックのニュースリリースによると、その研究をさらに進めた最新の成果が学術誌 European Heart Journal – Digital Healthに発表されている。25,000人以上の被験者で12誘導心電図データをAIモデルで解析したところ、「心電図年齢」はほとんどの被験者の実年齢との誤差(Age-Gap)で平均 0.88歳と正確に予測できていた。一方で、Age-Gapが1SD以上実年齢よりプラスに乖離していた患者は、全死亡率と心血管疾患死亡率が有意に高かった。
この結果は、「AIによる心電図解析が個別の加齢を検出する」という従来の研究グループの見解をさらに拡張させたものとなった。AI解析手法の隆盛によって、心電図に含まれる豊富で貴重な情報の利用はさらに進んでいく。
関連記事: