新型コロナウイルスの感染拡大は各国に医療提供体制の見直しを促し、医療崩壊を未然に防ぐための在り方が多面的に模索され続けている。特にベッドサイドテクノロジーの向上は、患者モニタリングの質的向上に加え、医療者の負担軽減にも直接的に資する可能性があり期待が大きい。
Clinomicが提供する「Mona」は、集中治療室(ICU)での使用に向けて設計された独自のAIシステムで、患者データの自動収集とデータの要約、AIによる臨床的意思決定支援を行うもの。Clinomicのコアメンバーは集中治療の専門医からなり、ICUにおける臨床的課題感を肌身をもって感じてきた。つまり、ICUにおいて患者の生存確率を高めるためには「種々のデータを継続監視」することが欠かせない。状態の悪化に伴って管理すべきデータポイントは指数関数的に増加するため、ICUの医師はモニター前に座ってデータ確認と解釈、それに基づく治療方針への意思決定を行わなければならず、必ずしも多くの時間を患者および家族とのみ向き合うものではないということだ。CEOのArne Peine氏は、AIとバーチャルアシスタントが事態解決のキーになると考え、Clinomicにおけるテクノロジー開発を推進してきた。
Monaはインターネット接続を要さないシステムで、データは全て院内に留まり、ウェブを介したセキュリティリスクの一切を排除する。また、デバイスには高解像度魚眼カメラを搭載し、180度の鮮明な視界によって医療者・介護者の双方をモニタリングできるなど、COVID-19を始めとした感染リスクのコントロールにも配慮する。MonaソリューションがICU医師の負担を軽減し、能力を強化する革新的ツールとなるか、ICUのデジタルトランスフォーメーションに期待が集まっている。
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