Circulation誌から公表された新しい研究では、43万人の患者から得た160万枚の心電図を利用し、心房細動および心原性脳梗塞の発症リスクを高精度に予測する深層学習モデルを構築している。モデル開発には精密医療を扱うTempus社が関与しており、プロダクト化への道筋にも大きな注目が集まっている。
同研究論文によると、米ペンシルベニア州ダンビルに所在するGeisinger Health Systemでの35年間に渡る患者治療データを用い、心房細動の既往が無い患者を対象とした「心房細動および心原性脳梗塞の発症リスク」を推定するニューラルネットワークを構築した。妥当性の検証試験では、81%の特異度と69%の感度で心房細動の新規発症を予測しており、3年以内に心原性脳梗塞を発症する患者の62%を特定することもできた。著者らは「これは既存の臨床モデルよりも優れている」と主張する。
米国では毎年3億回以上の心電図検査が行われているが、従来の12誘導心電図単独では通常、脳卒中などの「心房細動に関する転帰」までを正確に予測することはできない。著者らは今回の研究成果が心血管治療の向上に大きく貢献すると考えており、疾患スクリーニングや治療管理計画への革新的影響を与えるとして成果の重要性を強調している。
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