COVID-19のパンデミックに伴い、オンライン診療サービスは世界的に急速な成長をみた。日本においてもこれは例外ではなく、遠隔診療に対する保険診療の枠組みが時限的に拡張されるなど、業界を後押しする機運は高まっている。
ここでは、日本国内で一般消費者が利用可能な「オンライン診療サービス」の概要をまとめておこう。
1. Remote Doctor(リモートドクター)
電子カルテ・医療クラウドサービスを手がける株式会社アイソルが提供する遠隔診療サービス。
アプリ「Remodoc」(iOSとAndroidに対応)を介して、いつものかかりつけ医への診療予約・保険証の開示・ビデオチャットによる診察・処方箋発送・クレジットカードによる支払い、など医療機関受診に伴うプロセスのほとんど全てをプラットフォーム上で行うことができる。生活習慣病など、慢性疾患の管理を目的として、食事写真のほか、血糖値や血圧などの自己管理データを医師と共有することもできる。
導入医療機関にとっては、事前の簡易問診や写真の送付によって受診目的を把握しやすく、業務の効率化が期待できる。また、既存の電子カルテや予約システムとの連携もオプションとして設定されているため、複数のシステム併存による非効率を避けることができる。
現在、厚生労働省による「新型コロナウイルス感染症対策への基本方針」を受けて、期間限定でサービスの初期導入費用と月額利用料を無償として提供している(2020年4月1日から8月31日まで)。(プレスリリース)
2. ポケットドクター
https://www.pocketdoctor.jp/med/
日本最大級の医療人材派遣会社として知られるMRT株式会社が提供するオンライン診療サービス。スマートフォンによる遠隔診療・健康相談アプリとして日本で最初にリリースされた。
特徴となるのはヘルスケア機器との連携システムで、日常的なバイタルデータを記録して診療に活用できる。予約から診療、決済までをアプリ上で行うことができる。
ポケットドクターの導入済み医療機関はこちら。
ポケットドクターでも「新型コロナウイルス感染症対策の基本方針」を受け、医療機関に対するサービスの無償提供を実施している(2020年2月28日~9月6日まで)。(プレスリリース)
3. curon(クロン)
医療ITを手がける株式会社micinが2016年より提供を開始したオンライン診療サービス。患者はスマートフォンにより、予約・問診・診察・決済・医薬品配送までをオンライン上で完結することができる。
医療機関はパソコン・タブレット端末から利用でき、初期導入費用と月額利用料が無償であることが大きな特色となる。申し込み後からデモモードを利用でき、実診療へのスムーズな移行を実現する。導入済み医療機関は既に2,500を超え、院内処方に対する宅配業者への自動集荷依頼や宛名ラベルの印刷、追跡サービスが利用可能など、配送関連を含めた使い勝手への配慮が際立つ。
また、本年5月には調剤業務を実施する薬局向けに「curon(クロン)お薬サポート」サービスの提供も開始した。新型コロナウイルス感染症流行下において需要が急増する「電話での服薬指導」をサポートし、今後オンライン服薬指導に求められるビデオ通話などの各種機能の実装が進められる予定。
4. CLINICS(クリニクス)
株式会社メドレーによるオンライン診療システム。2016年の提供開始以来、全国の診療所や大学病院など幅広い導入実績と高いシェアを誇る。
CLINICSアプリを利用し、直感的なユーザーインターフェースで24時間の診察予約が可能となっている。スマートフォンによる事前問診とビデオチャットによる診察ののち、CLINICSアプリに登録されたクレジットカードで決済されるため、診察完了後の会計待ちなどがない。処方箋の配送サポート機能も備える。
医療機関にとっては洗練された使いやすいシステムと、充実のサポート体制がメリットとなり、オンライン診療開始にあたっては専門チームによる手厚い支援が受けられる。またクラウドサービスに関する情報セキュリティ認証も取得済みで、国際標準規格に適合したセキュリティ体制は患者情報の適切な管理に繋がる。
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