米FDNA社の研究チームは、AI技術を利用し、患者の顔画像からまれな遺伝性疾患を識別できるシステムを開発し、研究成果を英Nature medicine誌に公開した。DeepGestaltと呼ばれるこのAIシステムは、3つの異なる実験において、複数の遺伝性疾患の識別能力が専門医のパフォーマンスを上回っていると確認されている。
米CNNの報道では、アンジェルマン症候群を含め、特に軽症であれば見逃されがちであるまれな遺伝性疾患をAIが識別することにより、個別化医療に重要な進展を促すだろうと指摘されている。研究チームを率いたYaron Gurovich氏は「このシステムは実用上有益であるだけではなく、さらなる研究と臨床応用に結びつくものだ」とし、革新的な研究成果に自信をみせる。
DeepGestaltは、すでにスマートフォンアプリとして実用化段階に入っているが、顔画像から容易に遺伝性疾患の存在をスクリーニングできることは、雇い主や保険者に利用されることで差別的な使用に繋がる危険性をはらんでいる。研究論文上で著者らはこの可能性を否定せず、乱用を抑制するモニタリング手段の検討も併せて進めているという。