米国と中国の研究チームは、小児患者の症状・病歴・検査結果などの診療録から、高精度に疾患診断を行う自然言語処理AIシステムを開発した。中国において60万人に及ぶ患者データから構築されたこのアルゴリズムは、小児科領域の幅広い疾患群に対応している。研究成果は11日、学術誌Nature Medicineにて公開された。
ニューヨーク・タイムズの報道によると、カリフォルニア大学サンディエゴ校を中心とした研究チームは、中国南部に所在する小児医療センターに蓄積された患者データを用いたという。研究を率いたKang Zhang博士は「複雑な状況などにおいて、医師は必ずしも全ての疾患可能性を考慮できるわけではない。このシステムは医師の見逃しを防ぐ目的にも利用できる」としている。
精度の高いAIアルゴリズムを得るためには大規模なデータを要することが多いが、患者データの取り扱いには規制が多く、AI医学研究の1つの壁となっている。一方、中国では個人情報を取り巻く法規制が他国に比べて圧倒的に緩く、この事実が、中国企業や研究機関による同分野の躍進を支えている側面がある。また、World Economic Forumが過去に報じたように、中国は極端な医師不足下にあり、窮地をAIの代替によって脱したい思惑も種々の国策から垣間見えている。