AIによる医療費削減を目指す米スタートアップ・KenSci

シアトルに本拠を置くスタートアップKenSciは、AI技術を利用した医療費削減に積極的に取り組み、世界中から大きな注目を集めている。2015年にワシントン大学のデータサイエンス研究チームから生まれた同社は、独自のAIプラットフォームの提供によって巨額の資金調達に成功した上、昨年にはMicrosoftのHealth Innovation Awardsにも選出されている。

テックメディアVenture Beatの報道によると、KenSciのAIプラットフォームは、集積された患者データから臨床的側面のみならず、医療経営的側面からも詳細な解析を行うことができ、患者にとって有害性のない効果的なコストカットを実現できるという。CEOのSamir Manjure氏は、このプラットフォームを「医療の現況を単純化し、行動しやすい形に集約するもの」とした上で、コストに終始するのではなく、常に人命が優先されることも強調する。

医療費の高騰は米国においても深刻な問題の1つで、2017年には計3.5兆ドルにもなり、これは米国GDPの17.9%にあたる。Geek Wireのインタビューでは、Manjure氏は「予測可能なものは予防が可能なもので、健康増進とコスト削減は両立できる」としている。既にシンガポールとインドにもオフィスを持つKenSciは、AIによる医療費削減を武器に更なる事業の拡大を目指している。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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