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ヘルスケアにおいてAI技術を評価できる人材の重要性

循環器科医で先端医科学研究者のEric Topol氏は、英国政府機関であるHealth Education Englandと共同し、AI技術を含む先端医科学技術の評価・規制を行える人材育成が急務であるとの論評を公開した。同氏は、英国民保健サービス(NHS)に先端技術評価スキルが決定的に不足していることと、その危険性を指摘する。

英メディアHSJが11日報じたところによると、Topol氏は「適切な人材育成が行われない場合、継続的な技術革新がNHS職員の能力を大幅に超えることになり、新しい問題が多く表出するだろう」と指摘する。主張の根底には、安全性・有効性の不透明な新技術の乱立によって、患者に有害とさえなり得る現状がある。AI技術に精通した人員で構成された、信頼性のある効果的な新規技術評価システムの実現が早急に求められている。

近年のヘルスケアにおけるAI技術の活用・発展は目覚ましく、誰もがアルゴリズムの高い精度に目を奪われる一方、適切な臨床研究を通したエビデンスの構築や、社会経済的影響まで考慮した学術的検討が不足したまま市場に公開されることが問題となっていた。論評では、各職員の先端技術へのキャッチアップを目指した生涯教育の必要性も指摘し、技術変革への組織的な適応を求めている。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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