冠動脈の石灰化を高速に評価するAIシステム

オランダ・ユトレヒト大学を中心とした研究チームは、胸部CT画像から冠動脈の石灰化レベルを自動評価するAIシステムを開発した。冠動脈石灰化は心血管疾患の発症リスクを示すことから、循環器領域における予防的指標として使われている。

米テックメディアVentureBeatの報道によると、畳み込みニューラルネットワークを利用して構築されたこのAIアルゴリズムは、従来の冠動脈石灰化スコアリング手法に対して、数百倍もの高速化と完全自動化を実現している。研究者らは「この新しいシステムにより、CTの種類によらず、頑健で正確な評価を行うことができる」と話す。

世界保健機関(WHO)の報告によると、心血管疾患はあらゆる国において死因の第1位となっており、世界で1800万人もの人々が毎年亡くなっている。ただし、そのほとんどが予防可能であるとされており、定量的なリスク評価による早期の治療介入が欠かせない。冠動脈石灰化を含めた予防的指標は、今後一層その重要性を高め、利用の機会を増やしていくことになるだろう。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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