英サリー大学は英国国民保健サービス(NHS)との協力で、在宅で過ごす認知症高齢者の健康管理にAIを含む先端科学技術を持ち込み、その効果を検証する研究を行った。認知症患者向けの技術統合型ヘルスマネジメント(TIHM)と呼ばれる取り組みの一環として実施され、生活の質改善・入院率の低下・介護者のストレス軽減などを目指している。
サリー大学が公表したところによると、この研究では、認知症高齢者に対して各種モニタリングデバイスやセンサー類を利用することで、環境情報と生体情報を多面的に取得したという。経時的に蓄積されたデータを機械学習アルゴリズムで解析することで、深刻な病態の変化や付随する健康トラブルを早期に捉えることができたとのこと。
高齢化の進展により、認知症への対応は各国喫緊の課題となっている。一方、ほとんどの認知機能低下は有効な治療方法が存在せず、発症予防と進行予防、また適切な管理体制の構築が欠かせない。同研究チームの論文では、尿路感染症の早期発見AIアルゴリズムを公表しており、認知症高齢者の入院を大幅に回避できる可能性にも言及している。