てんかんは人口の約1%が罹患する最も一般的な神経障害疾患の一つである。けいれんや意識消失など多様な発作を繰り返し、不安とリスクを伴いながら日々を過ごすケースも少なくない。神経疾患の電気生理学的性質はAI技術との親和性が高い領域と考えられてきたが、近年の活用例を紹介する。
米メディアPsychology Todayによると、マサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボ発のスタートアップEmpaticaが開発したてんかん発作監視用スマートウォッチは、子どもの強直間代発作に対し、脳波を用いないデバイスとして初めてFDAの承認を受けたという。てんかん発作の発汗による体表の電導率変化をとらえる技術が組み込まれているとのこと。
また、Technology Networksによると、サウスカロライナ医科大学 (MUSC) の神経科医チームが、てんかん外科手術の予後予測に、拡散磁気共鳴画像(dMRI)からのディープラーニングで、従来の分類モデルを超える正確性を記録した。学術誌Epilepsia収載の同研究は、てんかん患者では一般的なdMRIを利用し追加検査を必要としない。抗けいれん薬に反応しにくい難治性てんかん患者は少なくない。生活の質の向上や、外科手術領域でもAIの役割は拡大してゆくだろう。