シンガポール国立大学の研究チームは、橈骨と尺骨(前腕の主要な骨)の骨折を高精度に識別するAIアルゴリズムを開発した。研究成果はオンラインジャーナル・Radiology: Artificial Intelligenceにて公表されている。
AI in Healthcareの報道によると、研究チームは、7536の前腕画像データを利用し、90%をアルゴリズムのトレーニングに、10%をアルゴリズムの妥当性評価に用いたとのこと。チームのYee Liang Thian医師は「人間による読影ミスは、経験不足・疲れ・時間不足・画像の乱れなど多数の要因から誘導されてしまう」とし、アルゴリズムによる一貫して安定した解析は、救命科や放射線科の医師にとって大きな助けとなることを指摘する。
救命センターに搬送された外傷患者などでは、スクリーニングとして多くの画像検査を受けるが、経験豊富な医師であっても微小な骨折線などを漏れなく抽出するのは容易ではない。研究チームは、救命科にて別に撮影された524の前腕画像においてもアルゴリズムの検証を行い、91%以上の正確性で骨折の検出に成功したとしている。