AIを利用した人工膵臓

血糖値は食事だけでなく、運動やストレスなど種々の要因で変動するが、これを一定の値にコントロールするためには膵臓から分泌されるホルモン・インスリンの働きが重要となる。糖尿病患者の厳格な血糖コントロールを実現するため、豪クイーンズランド大学が、適切なインスリン量を個人ごとに提案するAIアルゴリズムを開発した。

クイーンズランド大学の公表によると、患者の糖尿病歴にこの機械学習モデルを適応することで、個人ごとに最適なインスリン量を提示することができるという。研究を率いたNigel Greenwood氏はアルゴリズムを「従来の手法に比べ、より正確で良好な治療をもたらすもの」とし、同大学はこの機能をもって「世界最初のAI人工膵臓」と評している。

膵臓の機能はインスリン分泌のみならず、アミラーゼ・リパーゼといった消化酵素分泌など多岐に渡る。したがって今回の研究成果は膵臓機能を全て再現したものでは全くないが、Precision Medicineの更なる進展に貢献するものとなるだろう。Business Standardの報道では、研究グループは同技術を「航空機のエンジンパーツ劣化監視システム」にも応用しているという。

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TOKYO analytica
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The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。

1. M.Okamoto MD, MPH, MSc
信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、ロンドン大学ユニバーシティカレッジ(University College London)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。専門はメディカルデータサイエンス。ロンドンでのベンチャーエンジニアを経て、英国内の大学で医療データベース研究に従事。

2. T.Sugino MD
防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。