オーストラリア・シドニー大学と中国・復旦大学は、脳科学領域におけるAI研究推進を目指した提携を公表した。この研究パートナーシップは、”the Brain and Intelligence Science Alliance”(BISA)と呼ばれ、計算論的神経科学にAI利用倫理までを織り交ぜた研究群を取り扱う。
Healthcare IT Newsが報じたところによると、研究者らは、オーストラリア・中国の高齢人口増加を背景に、脳疾患の早期診断・早期介入を実現することが急務であると指摘する。脳科学領域におけるAIを利用した予防医学研究には、質の高い臨床データ収集と優れたAI関連技術が欠かせず、単施設で全てをまかなうことは容易ではない実情もある。シドニー大学の公表によると、同大の神経画像解析センターは昨夏、連邦政府から236万オーストラリアドルの助成を受け、AI医学研究への取り組みを強化していたとのこと。
今年3月には、オーストラリア最大のがん治療プロバイダーであるIcon Groupと、中国のSanbo Brain Hospital Groupが提携し、重慶市の複数病院における先端放射線治療の導入が予定されている。臨床・研究の両面において両国の柔軟な姿勢が垣間見えているが、多国間協力は効率的な医療AI開発において今後の大きな注目点となる。