中国上海のヘルステック・Shanghai Evomics Medical Technology社は、がんの画像特性・病理所見・ゲノムデータなどの複合情報から、多数種のがん個別診断と予後予測を実現したAIシステムで知られる。同社の次の目標は、中国全土における臨床配備を向こう10年で進めることにある。
中国メディアChina Dailyが報じたところによると、同社のシステムでは、MRI・CT・PET-CTなどの医療画像データ単独によるがん診断ではなく、ゲノミクスやプロテオミクス・メタボロミクスなど学際的医療情報を統合することによって、個別特性を捉えたがん診断を行うことができるという。このことにより、腫瘍の多様性による誤診や見落としを防ぐことができるとともに、個人ごとの有効な治療方針の策定に役立てることができる。
AI技術の進展に伴って、多要因とその相互関係を考慮した疾患評価が可能となりつつある。このことは悪性腫瘍を含む多くの疾患において、その病期分類や治療反応性を古典的評価から押し進めることになり、超個別的な治療方法の選定も実現する可能性がある。中国政府によるAI開発への積極姿勢の後押しを受け、がん治療の画期的ブレイクスルーとなるか、今後の展開に注目が集まる。