医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例医療系AIスタートアップ・ベンチャー企業の動向上海のヘルステック がんのAI診断システムを中国全土へ臨床配備へ

上海のヘルステック がんのAI診断システムを中国全土へ臨床配備へ

中国上海のヘルステック・Shanghai Evomics Medical Technology社は、がんの画像特性・病理所見・ゲノムデータなどの複合情報から、多数種のがん個別診断と予後予測を実現したAIシステムで知られる。同社の次の目標は、中国全土における臨床配備を向こう10年で進めることにある。

中国メディアChina Dailyが報じたところによると、同社のシステムでは、MRI・CT・PET-CTなどの医療画像データ単独によるがん診断ではなく、ゲノミクスやプロテオミクス・メタボロミクスなど学際的医療情報を統合することによって、個別特性を捉えたがん診断を行うことができるという。このことにより、腫瘍の多様性による誤診や見落としを防ぐことができるとともに、個人ごとの有効な治療方針の策定に役立てることができる。

AI技術の進展に伴って、多要因とその相互関係を考慮した疾患評価が可能となりつつある。このことは悪性腫瘍を含む多くの疾患において、その病期分類や治療反応性を古典的評価から押し進めることになり、超個別的な治療方法の選定も実現する可能性がある。中国政府によるAI開発への積極姿勢の後押しを受け、がん治療の画期的ブレイクスルーとなるか、今後の展開に注目が集まる。

TOKYO analytica
TOKYO analyticahttps://tokyoanalytica.com/
TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
RELATED ARTICLES

最新記事

注目の記事