香港に所在するAI創薬スタートアップ Insilico Medicineは、fibrosis(繊維組織の増殖)などへの治療薬剤候補となる化合物を、深層学習システムを利用することによりたった21日間で設計することに成功した。研究成果は学術誌Nature Biotechnologyにて、このほど公開された。
米Forbesが今週報じたところによると、同社はGENTRL(Generative Tensorial Reinforcement Learning)と呼ばれる深層学習システムを利用し、新しい薬剤候補となる化合物を21日間のうちに設計したという。これらの情報をもとに、最も有効となり得る候補化合物の動物実験にも成功しており、この検証までを含めても46日間で完了した。従来の一般的な薬剤開発プロセスにおいては薬剤候補の開発に8年以上、数億円規模の投資が必要であることを考えれば、数週間の開発期間と1600万円のコストは桁外れに効率的と言える。
InsilicoのCEOであるAlex Zhavoronkov氏は、2014年に同社を創立した。元来のバックグラウンドはコンピュータサイエンスであったが、キャリアの中途でバイオテック研究へとシフトし、米Johns Hopkins Universityと露Moscow State Universityから学位を得ている。Insilico Medicineは約26億円の資金調達にも成功するなど、まさにAI創薬における時代の寵児となろうとしている。