医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例AIとピンクリボン - 乳がん超音波診断装置の革新と社会啓蒙

AIとピンクリボン – 乳がん超音波診断装置の革新と社会啓蒙

2019年10月、今年も街頭の風景やイルミネーションがピンクに染まっている。乳がん啓発活動であるピンクリボンは2000年代から日本でも機運を強めて、風物詩として定着してきた。乳がんは早期発見・診断・治療の重要性が高く、社会的な認知度と密接に関わるため、ピンクリボンは一定の成功を収めつつあると言えるだろう。AI医療と乳がんの関係性は注目度が高く、乳房に対する超音波検査(過去記事)などで期待を集める。

英メディアPR Newswireでは、AIを活用した乳房用自動超音波画像診断装置(ABUS)の市場規模が2025年までに18億ドルに達すると報じている。レポート内で紹介されるQView Medicalは、2016年にQVCADと呼ばれるABUSで米国FDA承認を受け、AIによる乳がん超音波診断を先行する企業である。GE社など超音波診断装置大手と新興ベンチャー企業が協調しながら、ABUSは技術革新が進む。

乳がんとピンクリボンを取り巻く環境には、疾患の社会認知度を高めるユニークな製品が発表されている。インドのメディアRepublicではアプリ「ABC’s of Breast Health」を紹介している。インドを代表する国民的人気の女性バドミントン選手PV Sindhuが、拡張現実(AR)内に登場し乳がんへの取り組みの重要性を説く。乳がん早期発見への社会認知度の低さが問題となるインドならではのアプリである。また、ニュージーランドのメディアNZMEは同国発のアプリ「Pre Check」を紹介する。アプリ画面上のタッチ・視覚・音声・3Dモーションで乳がんの症状について解説し、女性の乳房セルフチェックについて理解が深まる。日本国内からリリースされた同様のアプリは少なく、乳がんとピンクリボンについては、発展の余地を多く残している。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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