すべてのX線画像検査と同様に、CTスキャンも画質と放射線量はトレードオフの関係にある。特に小児領域を中心として、検査による被曝リスクの低減は課題とされてきた。より低線量のCTで高い診断精度を生み出すAI診断技術は、Googleの研究チームが学術誌Natureに発表したものなどがある(過去記事)。
2019年10月21日、 Canon Medical Systems USAは、放射線量を従来と同等に据え置きながら2倍の超高解像度画像を再構成するAI技術、Advanced Intelligent Clear-IQ Engine (AiCE)で米FDAの認証を受けたことを発表した。畳み込みニューラルネットワークによるAIアルゴリズムがノイズを抑制しながらCTの信号を強化する。
MedTech Diveでは、キヤノンの経営的側面とAI技術戦略について解説を加えている。マクロ経済環境の弱さからキヤノンは医療部門の通期見通しを4690億円と予測、従来予測から10.5%削減した。一方、本拠地日本以外では医療システムの売り上げは増加傾向であり、特に南北アメリカでは第1四半期に21.5%売上高を増加させた。今回FDA承認を受けたことを後押しとして、AIアルゴリズムAiCEが搭載可能なCTシステムAquilionシリーズの海外販売を推進する成長戦略を描いている。CTを取り扱う臨床医にそのパフォーマンスが受け入れられるか注目したい。