ストラスクライド大学とエディンバラ大学、英企業ClinSpec Diagnosticsの共同研究チームは、赤外分光法と呼ばれる既存の技術にAIを利用し、2万に及ぶ血液中化学物質から脳腫瘍を指し示すものを抽出した。このスクリーニングテストにより、のちに脳腫瘍と診断される患者の82%を正しく特定することができたという。
欧州のバイオテック産業を取り扱うデジタルメディア・Labiotech.euの報道によると、この新しい脳腫瘍検査では、腫瘍の存在を識別するために必要となる「脳画像スキャン」の実施優先度を評価できる点が指摘されている。実診療においては、患者の症状のみから脳腫瘍を積極的に疑うことは容易ではなく、英国における標準プロセスとしても、診断までに複数回の受診と2ヶ月以上の時間を要していたという。
研究を率いたエディンバラ大学のPaul Brennan氏は「頭痛は脳腫瘍の兆候のひとつと言えますが、実際は他に原因のあることの方が多く、頭痛のある人全員を脳スキャンに送ることは現実的ではありません」と話す。英国を含む欧州においても、CTやMRIなどの画像検査機器の数は十分でなく、依然として日常診療レベルの検査とはなっていない。新しいスクリーニング手法による患者の優先付けは、脳画像スキャンの検査待ちによる診断の遅れを回避する、画期的な技術となる可能性がある。