ドイツのハンブルクを拠点とするスキンケア多国籍企業Beiersdorf AG(バイヤスドルフ)は、日本では花王が製造販売している制汗剤8×4やスキンクリームNIVEAブランドの開発元として知られている。スキンケアが医療AIの最前線として議論される機会は決して多くはなかったが、同社は香港拠点のAI創薬スタートアップInsilico Medicineと提携し革新的な製品開発を推進しようとしている。
DIGITAL JOURNALでは、バイヤスドルフとInsilico Medicineが開始した新規AIプロジェクトについて報じている。スキンケア製品開発における新しい分子化合物が皮膚疾患に対して有効かつ安全であるか速やかに特定するため、Insilico Medicineによる最新研究成果の協力を得た。ベースとしているその研究は、2019年に学術誌Nature Biotechnologyに公開された「ディープラーニングによるDDR1キナーゼ阻害剤の迅速な特定」である(過去記事参照)。皮膚線維化疾患などに対する薬剤有効性をAIで迅速に特定するという概念実証研究を新規プロジェクトで応用し、バイヤスドルフがスキンケア製品に利用する有効成分の生物学的効果を効率的にシミュレートするという。
バイヤスドルフの研究開発担当上級副社長May Shana’a博士は「AI創薬の専門家であるInsilico Medicineとの協力を歓迎しています。新しい有効成分の迅速かつ効率的な評価を行うことで、消費者のまだ満たされていないスキンケアに対するニーズに応えることができるでしょう」と語っている。