テキサス大学サウスウェスタン・メディカルセンターの研究チームは、ディープラーニングモデルによって、放射線治療開始への初期プロセスを高速化することに成功した。研究成果は学術ジャーナルMedical Physicsに掲載されている。
Medical Xpressの報道によると、研究チームが開発したAIモデルでは、放射線治療開始にあたって決定すべき「照射線量」などの詳細な治療計画を、迅速に策定することができるという。このAIモデルは70名の前立腺がん患者の臨床データに基づき、チームが従来利用していた2つのモデル ー「精度には欠けるがシンプルで高速なモデル」と「より正確ではあるが長時間の解析を要するモデル」ー から両者の違いを学習することで、1秒以内に高い精度を保った計算結果(適切な照射線量)を生成できるようになったとしている。
明確に早期の治療介入が奏功するケースであっても、医師の手による治療計画策定には一定の時間を要する。研究を率いたSteve Jiang博士は「患者の予後を考えれば、リアルタイムでの最適な治療計画策定には大きな意味がある」とし、AIの潜在的有用性を強く訴えている。