病院内のベッドとナースステーションでの患者情報のやりとりや、地域で家庭と医療機関を結ぶ通信機器など、いわゆるRPM: Remote Patient Monitoring(遠隔患者モニタリング)と呼ばれる技術は身近なものとなった。Instant Tech Market Newsの記事では、RPMの市場規模は2018-2025年で年平均成長率6.2%ほどの堅実な成長が予測されている。また米国コンサルティング会社 Spyglass Consulting Groupが2019年に出したレポートでは、調査対象の医療機関の大多数である88%がRPMに既に投資しているか投資予定と回答している。医療の価値を変革する可能性をもつRPMの更なる普及には、何が必要となるだろうか?
Healthcare IT Newsの記事では、RPM普及の方策としてシステムの汎用化を強調する。特定領域のみを扱い、限られたデバイスにしか繋げない現行のシステム群が問題視されている。大規模なコスト削減と医療の質的向上のためには、対象領域が広くデバイスに依存せず利用できる「汎用的なプラットフォーム」の構築が望まれる。RPMの真の価値を発揮するには、1.手頃な価格、2.幅広いデバイスで複数のタスクを処理できるアプリ、3.既存のセキュリティや通信規格への適合、といった条件が必須となる。また、RPMによる診療は従来の対面式での医療の提供と根本的に異なることに留意しなければならない。そのため専用設計された安全上の監視システムも欠かせないという。
RPM導入を推進するシリコンバレーのテック企業 CAREMINDrのCEOであるHarry Soza氏は「2020年はRPMが飛躍的に成長する可能性を持った年です。私たちのクライアントでも、2019年に小規模な先行試験を終え、急速で大規模なシステム拡張を始める事業所があります。対面しないシステムこそ、患者自身が責任感と熱心さをもって主治医との関係構築に取り組むことを要求します。システム導入が簡単なのは当然として、医療現場のニーズをきちんと網羅して組み込んでいることもRPM普及を加速させる要因です。これこそが業界の最大の課題なのです」と語っている。