米オハイオ州に所在するケースウェスタンリザーブ大学の研究チームは、がん細胞に対するAIを用いた画像分析により、黒人男性と白人男性の前立腺がんに重要な組織学的差異があることを示した。研究成果は先週、学術誌Clinical Cancer Researchにて公開された。
チームは、前立腺がん手術後の再発リスクが高く「補助療法の恩恵を受ける可能性の高い患者」を、画像単独で識別するためのAIアルゴリズムを開発した。当初、患者データは約80%が白人であったため、データセット全体から導いたモデルには強いバイアスが内包されていた。一方、人種ごとのモデルを作成すると、特に黒人患者における再発リスク予測の精度が6倍に向上し、人種間のがん細胞における組織学的差異のあることが考えられた。さらに腫瘍自体の評価だけではなく、間質の画像評価も行ったところ、化学療法や免疫療法といった治療法ごとの再発率予測における精度にも向上がみられたという。
研究に携わった同大学のPatrick Leo博士は、Medical Xpressの取材に対し「全てを一緒くたにしたモデルを作成するだけでは、少数派の患者のパフォーマンスが低下するリスクがある。母集団に固有の側面を慎重に含めることが欠かせない」とし、細胞レベルでの研究にも多様性を考慮する必要性に言及している。