胸部X線画像から新型コロナウイルス感染症患者を迅速に診断する試みが世界各地で行われている。画像診断用のAIプログラム開発支援のため、カナダのモントリオール大学のポスドク研究員であるJoseph Paul Cohen氏らが主導し、COVID-19のレントゲン画像のデータセットがGitHub上に公開されている。画像コレクションは当初123枚から始められ、さらなる拡充を進めている。
英メディアDaily Mailでは、同データセットを利用してCOVID-19患者を診断する機械学習モデルを作成したオックスフィード拠点のZegami社を紹介している。同社は、開発した新しいプログラムでX線画像からCOVID-19を簡単で迅速な自動診断を可能とし、いずれは重症度や死亡と関連する潜在的な転帰を予測できるようになることを期待している。
現在のところ、使用している画像データセットには患者に付随した詳細な臨床症状などの情報が不足しているため、開発されたAIはCOVID-19と他の肺疾患との鑑別に役立つのみという限界がある。プロジェクトのさらなる進行のため、Zegami社は英国NHSに対して画像および臨床データの提供などを依頼しているという。同社のCEOであるRoger Noble氏は「開発されたモデルによって、英国NHSの素晴らしい医療スタッフ達が臨床の意思決定を行い命を救うだけでなく、世界中で共有されることでCOVID-19を打倒する手助けとなるでしょう」と述べている。