学術的にsevere acute respiratory syndrome coronavirus 2 (SARS-CoV-2)と命名されている新型ウイルスは、人獣共通感染症とされているがその起源については議論の余地がある。起源を追跡するためにAI技術を用いた研究のひとつとして、bioRxivに公開された査読前論文を紹介する。
オーストラリアのディーキン大学のグループから「Origin of Novel Coronavirus (COVID-19): A Computational Biology Study using Artificial Intelligence」との表題で5月12日に発表された研究では、ウイルスの遺伝子配列データに教師なし機械学習 クラスタリングの手法(DBSCAN)を用いた。結果として、今回のウイルスの起源がコウモリやパンゴリン(和名センザンコウ)が宿主であった仮説を支持するものであった。なかでもコウモリ由来の可能性が高いということも示唆されている。
遺伝子という大量のデータから有意なパターンを抽出するAIの能力には注目が集まっており、今後のワクチン開発にも同様の活躍が期待される。それぞれのアルゴリズムの利点・欠点を補い合いながら、ウイルスとの共存に向けた戦略が構築されてゆくだろう。