米国 AARPは50歳以上を入会要件とした、約3800万人の会員数を擁する米国最大級の非営利・超党派団体である。かつては定年退職後の生産的な老後生活を支える目的の協会であったが、現在では退職後に限らず、壮年以降の高齢者の社会問題に取り組んでいる。同団体は米ハワード大学と提携して、高齢者が直面している健康格差に取り組む2つの臨床試験を実施している。
ハワード大学のニュースリリースによると、2つの臨床試験として「糖尿病管理と服薬状況の改善」「健康問題を抱えた人たち同士をつなげるオンラインコミュニティ」が実施されている。新型コロナウイルスのパンデミックによって、高齢者・慢性疾患患者・医療アクセスが不十分なコミュニティでの圧倒的な重症化および死亡リスクが浮き彫りとなった。2つのプロジェクトはこれら地域社会のヘルスケアを向上させる目的を有する。1つ目の糖尿病については、顔認証技術から投薬を促す音声優先型の技術。2つ目のオンラインコミュニティでは高血圧・心血管疾患・遺伝性疾患・がん・神経変性疾患などを対象として、社会的なつながりを向上させる。
AARPとハワード大学は問題解決のために、モバイルアプリ・医療用センサー・ARとVR・AI・ウェアラブルデバイス・顔認証と音声認識・データ解析といったあらゆる先端技術を用いるという。COVID-19をきっかけとして立ち上がったプロジェクトによって、最も弱い立場にあるコミュニティへ最も革新的な手法を届けるという取り組みが今後どのような成果を発揮するか注目したい。