フロリダアトランティック大学ビジネスカレッジの研究チームは、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う遠隔医療の重要性が特に高まっている一方、その導入は米国内において地域差が非常に大きいことを示し、第二波に備えた地域的拡充の必要性を訴えている。
The Journal of Rural Healthに短報として公表されたチームの研究論文によると、American Hospital Association(AHA)が有する3,268の急性期病院データベースに基づき、今回の調査を行ったという。米国内の病院における遠隔診療システムおよびeICU(集中治療室を病院間でVPNによって繋ぐもの、フィリップスが展開する)の実装を目的変数として、組織的要因や人口、地域性などのうち、何が有意な説明変数となるかをロジスティック回帰分析を用いて解析した。結果、遠隔医療の提供体制構築には地域差が大きいこと、特に遠隔診療システムについてはより地方に所在する病院ほど、広範な導入につながることを明らかとした。
研究チームは「COVID-19によって大きな打撃を受ける地域は、遠隔医療機能をさらに拡張する必要性がある」ことを指摘する。COVID-19の感染拡大に脆弱なのは、必ずしも医療リソースの乏しい地域だけではなく、都市部においても医療的オーバーフローを見越したバックアップシステムとしての遠隔医療機能の拡充が欠かせないとする。日本国内においても第二波の兆しが見え隠れするなか、医療崩壊を免れるには適切な体制評価と見直しが欠かせず、ここでは「遠隔医療」が重要なキーワードとなることは間違いない。